交通事故の裁判の増加の背景
最近の裁判の件数は、やや微減ですが横ばいの傾向にあります。
しかし、全体的な裁判件数が横ばいの中で、飛躍的に裁判件数が増えている分野が、交通事故に関するものです。
交通事故は、被害者が死亡したり遷延性意識障害となったりした場合、一千万単位どころか億単位の損賠賠償金額となるため、一般の人でもニュースで目にされる機会も多かったです。
しかしながら、交通事故の大半は物損だけだったり、被害者の方も1カ月以内に完治するような軽微なものが多く、保険会社が被害者に支払う、治療費を除いた損害賠償金額は100万円以下と言うことも多くあります。
そのため、交通事故の被害者であっても、「保険会社から支払われる保険金額が少ない気がするから弁護士事務所に相談したいけど、依頼料で保険金がなくなってしまうからあきらめよう。」と言う人がほとんどでした。
それのターニングポイントとなったのが、「弁護費用特約」の新設です。
弁護士費用特約は、「自動車が関係する交通事故にかかる弁護士費用を、損害保険会社が負担する自動車保険特約」のことです。
これにより、少額の損害賠償金の請求でも交通事故の被害者が弁護士に依頼することができるようになり、交通事故関係の裁判件数が飛躍的に増えました。
交通事故関係の弁護士事務所で就業している人ならばピンとくるでしょうが、意外と一般的には周知されていなかったりします。
自動車保険によっては、選んで付ける特約ではなく、本体契約に自動付帯しているため、契約者本人も加入していることを知らないと言うことがあります。
そのため、交通事故専門を謳う弁護士事務所の中には、相談者への質問に「弁護士費用特約に加入しているか?」という項目を設けているところもあります。
自動車保険の弁護士費用特約により、「弁護士費用のとりっぱぐれがない」という理由から交通事故専門の弁護士事務所にシフトするところも少なくなく、老舗の交通事故専門の弁護士事務所も苦戦が続いている状態なのだそうです。
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特老と弁護士
日本の加速度的な高齢化や、介護保険制度の改正と成年後見人制度の改正により、10年ほど前から特老関係の法律問題がクローズアップされてきました。
年老いた両親が体力の低下や認知症になり、特別養護老人ホームへの入所を検討した時点で、多くの人が高い壁に当たってしまいます。
特別養護老人ホームの空きが少ないと言うこともありますが、「親の貯金があるから、それを入所費用にしよう」と思っても、勝手に配偶者や子供が入所予定者の預金口座から引き出して使うことができず、愕然とされることがあります。
特に認知症の場合は成年後見人が認定されてなければ、認知症患者の財産を親子と言えども勝手に使うことができず、あわてて弁護士事務所に相談に来るという人もいます。
弁護士事務所の方でも、成年後見人の手続きを代行したり、場合によっては弁護士自身が後見人となられていると思います。
特老に関する問題は、当事者が高齢者であるうえに、被後見人となることが多いため、相続や後見人制度、親族間の問題など、多くの法的な問題を一度に抱えることが一般的です。
そのため、特老や福祉関係の問題に特化した弁護士事務所もあり、相談もコンスタントに来るそうです。
特老の施設に入所後でも、入所者が怪我をしたり待遇などで施設側との交渉に弁護士に同席してもらったり、死亡時の財産整理と遺産相続を弁護士事務所に依頼したりと、「一度弁護士に依頼すると、その後の手続きも弁護士に頼む」という流れが起きやすいのだそうです。
特老や福祉関係に特化した弁護士事務所となると、法律関係だけでなく、医療制度や福祉系の知識も必要となってきますが、リピーターもあると言うことで手堅いという弁護士もいるくらいです。
専門に特化した弁護士事務所でも成功例のうちに入ると思いますが、これからもこういった新たな専門分野が増えていくのではないかと思われます。
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顧客にはYESとNOで話をさせて
弁護士事務所に相談に来る人の大半は、弁護士事務所に来るのは生まれて初めてという人たちです。
そのため、顧客に対する弁護士の一番目の関門が、顧客から話を聞くと言うことなのですが、なかなかうまくいかないこともあると思います。
顧客と話がうまくできないパターンは
1 顧客が弁護士事務所に来るのは初めてで、緊張している
2 口下手で話をすること自体が苦手
3 相談することに決心がついていない
4 顧客が一方的に話をするが、話題があちらこちらにすぐ変わり、要領を得ない
というのがパターンだと思います。
会話の秘訣は「聞き上手になる事」とよく言われますが、弁護士の仕事と言う性質上、話を聞くことも大事ですが、話を聞いてもらうことも大事だと言えます。
そのため、会話のイニシアチブは弁護士が握らないといけないのですが、話のとっかかりが重要となります。
よく、弁護士物のドラマなんかでは、「今日はどんなご相談でいらっしゃったんですか?」と弁護士が相談者に聞くシーンを見かけますが、あれは無難ではありますが、相談者によってはなかなか話を出来ないことがあります。
もし、顧客が話をしづらそうであったり、あいまいな返事が多いのであれば、YES・NOの返事がしやすい質問をする方がいいです。
「家族関係の問題ですか?」「はい」
「お父様とのことですか?」「いいえ」
「では奥さんとのことですか?」「はい」
「金銭関係ですか?」「それも関係があるのですが…」
「失礼ですが、不倫が関係していますか?」「はい」
と、弁護士が自ら問題を絞り込んでいく方法です。
一見遠回りをしているように見えますが、受け身がちな相談者に対してはYES・NOだけで返事ができる質問は答えやすく、心理学でもそちらの方が答える側の心理的な負担が少なく、話がしやすくなる効用があることがわかっています。
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手書きの効果
弁護士事務所の日常業務ではパソコン作業が中心となるため、書類も印刷したものがほとんどになります。
一昔前ならば、申請用紙などは手書きしなければいけないこともありましたが、弁護士ソフトの中には項目を入力すれば申請用紙にぴたりと入力して印刷できるものもあります。
そのため、弁護士事務所内でも手書きの物と言えば、ちょっとした伝言メモであったり、電話応対でのメモ書きくらいになっているのではないでしょうか?
手書きに比べてパソコンで作成して印刷する利点は、誤字が少ない、読みやすい、複製がしやすい、データで保存できると、たくさんあるため、「すべての書類はパソコンで作成」という、弁護士事務所も多いと思います。
ですが、手書きの方が優れている場合もあります。
相手に気持ちを伝えるなどの対人関係に関しては、手書きの方が良いこともあります。
手書きの文字は温かみや人間味があるため、「年賀状は印刷しているけれども、手書きで一言添えている」という方も多くいらっしゃいます。
ある営業マンの話で、得意先に行った時に担当者が不在の場合には名刺を置いていくのですが、その時には必ず訪問した日付と時間のほかに、「お会いできず残念です」と名刺に書いておくそうです。
名刺に書き込む時間は5秒足らずでできることなのですが、結構効果があるそうです。
名刺を預かる担当にしても訪問した時間が書いてあるため伝言が楽になり、もらった側も確認がしやすいので良いとのことです。
しかも、手書きで一言添えてあると、たとえセールスでの訪問であっても、受け取った側はなんとなく申し訳ないような気持ちになったり、親近感を持ったりすることがあります。
そのため再訪問した際に、会ってくれたり話を聞いてもらえる可能性が高くなるそうです。
こういうちょっとしたことが、顧客に安心感を与えたり、信頼感を持ってもらうキーポイントとなりますので、取り入れてみてもいいかもしれません。