過去のデータは弁護士事務所の宝
データも5年・10年と経営を続けていくと、紙の書類だけでなくパソコンのデータも溜まっていきます。
紙の書類は場所もとるため、1年ごとや置き場所に困った時に整理や処分をすることが多いのに対して、パソコンの中のデータはそのままと言うことが多いです。
パソコンのデータは、1カ月に一回や年度末などの区切りでバックアップをDVDなどの外部記憶に保存しておくほうがよいです。
「気が付けば容量がいっぱい」「パソコンの買い替え時に初めてデータの整理をした」「パソコンが故障してしまい、データの3年間のデータがすべてなくなった」というのはよくある話です。
データのデータは単なる顧客データや業務データではなく、すごく価値の高いものです。
5年前に離婚で依頼を受けた顧客が、今度は遺産相続の遺言書の作成を依頼してきた場合、過去のデータがあれば離婚した妻との間の子供などの血縁関係も把握しやすく、依頼人からの信用度も増すことになると思います。
また、初めて相談に来られた依頼者でも、「そういえば、3年前に受けた○○さんの依頼とそっくりだな」となれば、経験に基づきアドバイスできるほか、以前の案件で使った書面をフォーマットとしてつかえるため、作業時間の短縮となります。
つまり、データはデータの経験が蓄積されたものなので、経験の浅い弁護士や特殊な案件にあたった弁護士からすれば、そういったデータはお金を払っても見てみたいと思うほどの価値があることがあります。
特に、判例集は裁判になったことにより開示されているので出版されていますが、示談で終わった場合などは一般的に目に触れることがないため、示談のデータなどは新人の弁護士からすればノウハウが詰まったお宝といえます。
つい、「自分のデータは大した案件を受けているわけじゃないから、データのバックアップなんて何かのついででいいよ。」となってしまいますが、本当はすごい価値のあるものかもしれませんので、日ごろから大切に扱った方がよいでしょう。
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クラウドはバックアップとして使えるのか?
外出先で、「あれ?書類がない。弁護士事務所に忘れたかな?パソコンの中にデータはあるんだけど。」と言うことはないでしょうか?
最近のオフィスソフトでは、作成した文書をクラウドに保存できることも出来るものもあるため、外出先でもパソコンやスマホがあればダウンロードすることができます。
そのため、普段はパソコンにファイルを保存しているが、パソコンが故障した時のためのバックアップ用にクラウドを使用している人もいます。
そもそも、クラウドとは正式名は「クラウドサービス」で、「雲」を意味する「cloud」から来ています。
クラウドサービスを簡単に説明すると、ネット上のサーバーのデータをパソコンやスマホなどでやり取りする行為です。
身近な所では、メールもメールサーバーにあるメールデータをパソコンやスマホでやり取りするため、クラウドに当たります。
また、インターネットもインターネットのデータ自体はサーバーにあり、パソコンにダウンロードされて見ることができているので、これもクラウドです。
そのため、弁護士事務所内で書類を共有する際にクラウドを使用すれば、ネット回線がありパスワードさえわかれば、すぐに共用することができますし、自宅で作業する際にも簡単にファイルを使うことができます。
こう見ると、「弁護士事務所のファイルは全部クラウドに保管しておけば、作業効率も上がるし、バックアップにも使えるし、いいことづくめなのでは?」と思われるかもしれません。
しかし、クラウドにもデメリットがあります。
1つは容量が決まっていることが多く、バックアップなどでデータ量が膨大である場合には収まりきらないことがあります。
2つ目は、ネット回線が接続されていないところでは使用できない点です。
「出張先でちょっとデータの訂正をしたいと思ったけど、Wi-Fiが繋がらない」といった場合には大変困ります。
3つ目は、ネット接続できるというと言うことは、逆にパスワードさえわかれば誰にでも接続できるため、セキュリティの点でデータの漏えいの危険性があることです。
弁護士事務所の書類は個人情報や守秘情報が含まれていることも多いので、クラウドの使用には不向きといえます。
バックアップにはセキュリティ性の高い社内サーバーに保存し、クラウドは一時的な利用に止めておくほうがよいかもしれません。
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タイムチャージ制の弁護士事務所は流行るのか?
弁護士に相談するか悩んでいる理由の大多数が、「弁護士に頼むと高額な費用が掛かる」「費用がどのくらいかかるかわからない」というものです。
弁護士費用の基準は弁護士会で指針が出ていますが、弁護士事務所により大きく変わるため、「思ったより安かった」「相談の時点で高額となるのが分かりあきらめた」と、依頼人によっても意見が大きく分かれます。
弁護士の費用の計算は、大きく分けて着手金・成功報酬の割合的報酬体系とタイムチャージに分けられます。
日本の弁護士事務所は割合的報酬体系のことが多く、「1000万円の交通事故の示談ならば、着手金50万円で示談成約時に示談金の10%を支払う」とか、「著作権契約の契約書の作成は30万円」といったものがオーソドックスだと思います。
反対に、「顧問弁護士が顧問会社の法律的な相談を行う場合は、1時間3万円」とか、「法律相談は、30分5000円」というような、面談時間がはっきりしているものはタイムチャージにしている弁護士事務所も多いです。
割合的報酬体系とタイムチャージのどちらにも、依頼人・弁護士事務所に対してメリットとデメリットがあります。
割合的報酬体系は、依頼前におおよその弁護士報酬がわかるため、依頼する側としては意外な高額となることが少ないです。
しかし、弁護士事務所側からすると、受任時に弁護士報酬がわかるため資金繰りの計算がしやすいメリットがありますが、受任後に内容が複雑で時間や労力が非常にかかるとわかった場合でも、追加報酬を言いにくいというデメリットがあります。
一方でタイムチャージは、どれだけの時間がかかるか不透明なため、長期間にわたる案件であると、依頼主・弁護士事務所双方が受任に対して二の足を踏む可能性があります。
しかし、依頼主からすると時間があまりかからない案件であれば、割合的報酬よりも安くすむ可能性があります。
反対に、弁護士事務所からすると「相続人が10人もいる相続問題」や「刑事事件の弁護」など、通常よりも複雑な案件や金銭が絡まないため割合的報酬体系の枠から外れていると言った場合などは、便利といえます。
ですが、タイムチャージの時間は弁護士事務所の言い値となることが多く、依頼主が不信感を抱くことも多いので、日本では普及が難しいかもしれませんね。