二人弁護士事務所の増加の背景
法律事務所向けシステムThemis開発の田原です。
弁護士事務所は、在籍する弁護士が1人ないしは2人のところが大きな割合を占めているのですが、近年になりその割合が微妙に変化しつつあります。
弁護士が1人の弁護士事務所は全体の50%ほどで大きく変化はないのですが、弁護士が2人の弁護士事務所は20年以上前は7%ほどだったのに最近では15%以上になります。
単純に弁護士の数が増えたということもありますが、弁護士事務所の苦しい経営状況が背景にあります。
弁護士上階の現状を見ると、司法試験の改定により弁護士の数が増えたのに、訴訟件数は減っています。
以前は法律関係の知識のなかった一般人も、ワイドショーで法律問題を取り扱ったり、インターネットで簡単に検索できたりするため、自己解決したり逆にあきらめたりするため、弁護士への相談すらしなくなり、訴訟件数が減ったと考えられます。
そのため、バブル景気時代には弁護士と言えば高学歴・高収入と言う花形職業であったのが、中程度の学歴・低収入と揶揄されることもあります。
そのため、弁護士事務所の経費の負担を減らすために、2人での共同経営としている弁護士事務所が増えました。
また、1人で経営していた弁護士事務所も、「事務員を雇うくらいならば、若手の弁護士を事務員並みの給料で雇えば、事務仕事もしてもらえるし、何かあれば弁護士として代わりに仕事をしてもらえる」と、事務員兼弁護士として雇用するケースもあります。
前ならば、「弁護士資格があるのに、事務員扱いされるなんて」と言う考えもありましたが、今では地方都市で月給20万円で弁護士の募集をすれば、応募数が30人以上と言う事もザラです。
司法試験が改定されない限り弁護士数は増えていくため、さらに弁護士事務所の経営は厳しくなることが予想され、2人弁護士事務所の割合はますます増えていくことが考えられます。
法律事務所システムソフトで弁護士の案件管理を効率化|株式会社システムキューブ
地方の弁護士事務所ほどオールラウンダーでないと生き残れない
Themis開発をしております、株式会社システムキューブの田原です。
日本弁護士協会が弁護士事務所に行ったアンケートによると、東京や大阪などの大都市ほど、離婚や借金問題などの専門分野に特化した弁護士事務所が多く、地方都市になるほどそのような弁護士事務所の数は少なくなり、人口が10万人以下の小規模な地方都市になると、専門分野に特化した弁護士事務所が自体がないところも少なくありませんでした。
東京などは人口が多く企業も多いため、専門分野に特化した弁護士事務所であっても、依頼件数や種類も豊富にあるからです。
実際「特許関係の案件しか取り扱わない弁護士事務所」や「外国人のための日本国籍取得関係のみの案件しかしない弁護士事務所」・「インターネット関係の紛争専門の弁護士事務所」など、一般的な問題からするとマイナーな分野専門の弁護士事務所もあります。
こういった弁護士事務所の経営の方はと言うと、「この問題は△△事務所ぐらいしか扱えない」とニッチな需要に応えられるので、全国から依頼があることも多いため、順調な経営をしている弁護士事務所が多いそうです。
裏を返して言えば、地方都市では離婚・借金・相続と言った一般的な内容の依頼者が多く相談件数自体が少ないため、一つの分野に特化してしまうと経営できるほどの依頼件数がないと言う事になります。
そのため、地方都市で人口が少なくなればなるほど、「離婚・借金・相続」と言う三大弁護士案件がこなせるだけでなく、弁護士業務と言うよりも事務仕事と言った内容の依頼も出来るようにならなければ経営していけないと言うのが現状のようです。
外国人の雇用が多い企業が多い地方都市などでは一般的な案件に加えて、英語の他に中国語やポルトガル語・スペイン語が出来るスタッフを置き、外国人の法律問題に対応できるようにしている弁護士事務所があり、同じ地域で経営している弁護士事務所より抜きんでて依頼件数が多いそうです。
法律事務所システムソフトで弁護士の案件管理を効率化|株式会社システムキューブ
弁護士事務所で専門性を掲げる際の注意
法律事務所向けシステムThemis開発担当の田原です、お世話になっております。
弁護士の資格があれば、法律全般に対しての権限を広く持つため、借金問題・離婚問題・不動産問題・紛争問題・刑事事件と、弁護士事務所が取り扱える法律関係の案件の種類は多岐に亘ります。
ですが、一つの分野に特化した弁護士事務所も少なくなく、「借金問題専門弁護士事務所」や「離婚問題に強い弁護士事務所」と言った専門性を前面に押し出した広告をしている弁護士事務所も少なくありません。
以前は日本弁護士協会では、「『専門』という表現はなるべく控えるように」との見解を出していました。
専門と呼べる弁護士の基準があいまいで、その分野の案件しか引き受けてない事なのか、その分野の案件に対する解決率が非常に高いのか、その分野の案件を取り扱いだしての経験年数なのかなど、どこでその線引きをするかが決められなかったからです。
たとえば「ラーメン専門店」とラーメンしか販売していないお店が、必ずしも老舗でおいしいラーメン店かと言えばそうと言えないように、専門性を謳った弁護士事務所であっても、長いキャリアがあったり、案件の事例や判例に精通していない弁護士が経営している場合もあります。
ですが依頼する側からすると、専門性の高い弁護士事務所の方が個別性の高い問題に細かく対応してもらえるので、そういった弁護士事務所を選ぶ傾向が高いです。
そのため、日本弁護士連盟でも「専門弁護士の指定」が議題として挙がったのですが、基準や選定方法などの問題があり実現していません。
「専門」と弁護士事務所に看板を掲げるのならば、「離婚相談取扱件数○○件」「20年以上の実績」など、具体的な数字で実績を強調する方が良く、広告の表示方法としてもそちらの方が推奨されています。