タイムチャージ制の弁護士事務所は流行るのか?
弁護士に相談するか悩んでいる理由の大多数が、「弁護士に頼むと高額な費用が掛かる」「費用がどのくらいかかるかわからない」というものです。
弁護士費用の基準は弁護士会で指針が出ていますが、弁護士事務所により大きく変わるため、「思ったより安かった」「相談の時点で高額となるのが分かりあきらめた」と、依頼人によっても意見が大きく分かれます。
弁護士の費用の計算は、大きく分けて着手金・成功報酬の割合的報酬体系とタイムチャージに分けられます。
日本の弁護士事務所は割合的報酬体系のことが多く、「1000万円の交通事故の示談ならば、着手金50万円で示談成約時に示談金の10%を支払う」とか、「著作権契約の契約書の作成は30万円」といったものがオーソドックスだと思います。
反対に、「顧問弁護士が顧問会社の法律的な相談を行う場合は、1時間3万円」とか、「法律相談は、30分5000円」というような、面談時間がはっきりしているものはタイムチャージにしている弁護士事務所も多いです。
割合的報酬体系とタイムチャージのどちらにも、依頼人・弁護士事務所に対してメリットとデメリットがあります。
割合的報酬体系は、依頼前におおよその弁護士報酬がわかるため、依頼する側としては意外な高額となることが少ないです。
しかし、弁護士事務所側からすると、受任時に弁護士報酬がわかるため資金繰りの計算がしやすいメリットがありますが、受任後に内容が複雑で時間や労力が非常にかかるとわかった場合でも、追加報酬を言いにくいというデメリットがあります。
一方でタイムチャージは、どれだけの時間がかかるか不透明なため、長期間にわたる案件であると、依頼主・弁護士事務所双方が受任に対して二の足を踏む可能性があります。
しかし、依頼主からすると時間があまりかからない案件であれば、割合的報酬よりも安くすむ可能性があります。
反対に、弁護士事務所からすると「相続人が10人もいる相続問題」や「刑事事件の弁護」など、通常よりも複雑な案件や金銭が絡まないため割合的報酬体系の枠から外れていると言った場合などは、便利といえます。
ですが、タイムチャージの時間は弁護士事務所の言い値となることが多く、依頼主が不信感を抱くことも多いので、日本では普及が難しいかもしれませんね。