交通事故の裁判の増加の背景
最近の裁判の件数は、やや微減ですが横ばいの傾向にあります。
しかし、全体的な裁判件数が横ばいの中で、飛躍的に裁判件数が増えている分野が、交通事故に関するものです。
交通事故は、被害者が死亡したり遷延性意識障害となったりした場合、一千万単位どころか億単位の損賠賠償金額となるため、一般の人でもニュースで目にされる機会も多かったです。
しかしながら、交通事故の大半は物損だけだったり、被害者の方も1カ月以内に完治するような軽微なものが多く、保険会社が被害者に支払う、治療費を除いた損害賠償金額は100万円以下と言うことも多くあります。
そのため、交通事故の被害者であっても、「保険会社から支払われる保険金額が少ない気がするから弁護士事務所に相談したいけど、依頼料で保険金がなくなってしまうからあきらめよう。」と言う人がほとんどでした。
それのターニングポイントとなったのが、「弁護費用特約」の新設です。
弁護士費用特約は、「自動車が関係する交通事故にかかる弁護士費用を、損害保険会社が負担する自動車保険特約」のことです。
これにより、少額の損害賠償金の請求でも交通事故の被害者が弁護士に依頼することができるようになり、交通事故関係の裁判件数が飛躍的に増えました。
交通事故関係の弁護士事務所で就業している人ならばピンとくるでしょうが、意外と一般的には周知されていなかったりします。
自動車保険によっては、選んで付ける特約ではなく、本体契約に自動付帯しているため、契約者本人も加入していることを知らないと言うことがあります。
そのため、交通事故専門を謳う弁護士事務所の中には、相談者への質問に「弁護士費用特約に加入しているか?」という項目を設けているところもあります。
自動車保険の弁護士費用特約により、「弁護士費用のとりっぱぐれがない」という理由から交通事故専門の弁護士事務所にシフトするところも少なくなく、老舗の交通事故専門の弁護士事務所も苦戦が続いている状態なのだそうです。