弁護士事務所の紹介料問題
法律事務所向けシステムThemis開発担当の田原です、お世話になっております。
弁護士事務所の依頼のきっかけは、「知人からの紹介」「以前の依頼者の口コミ」など、紹介であることが多くあります。
2000年に弁護士事務所の広告禁止の規制がなくなるまでは、弁護士の依頼は紹介によるものがほとんどでした。
そのため、弁護士も地域や企業に顔を売らなければいけないため、地域の中小企業の会合に参加をしたり、ライオンズクラブに加入したりと、人脈を広げることが死活問題でした。
もちろん知人から紹介をしてもらえるのは、全く知らない人の依頼を受けるよりもリスクが軽減するなどのメリットがあるのですが、一つ問題となるのが紹介料の問題です。
弁護士法により、法律的な問題解決を対価を得て弁護士以外がすることは禁止されています。
なので、「法律の事なら、○○弁護士事務所に相談したらいいよ。」となるのは自然な流れで、弁護士としても顧客を紹介してもらったことに報酬を支払いたいと言うのは否定できない感情です。
弁護士事務所の紹介料に対する判例によると、「弁護士への紹介を業として行っているものへの紹介料としての報酬を支払うことは違法」となっています。
この「業」と言うのが肝で、「弁護士への紹介を仕事としている人にお金を支払うのはダメ。」ということで、俗にいう「紹介屋」と言われる職業であると認められると違法であるが、個人に1回だけと言う場合には裁判所も寛容な判決が出ています。
しかし、日弁連では「紹介料の支払いは一切禁止」との自主規制を定めており、日弁連に登録しなければ弁護士活動ができないため、実質的には全面禁止となっています。
そのため、最大手の「弁護士ドットコム」でも、弁護士紹介はしていても月極めの広告料しか徴収をしていませんし、楽天が「士業紹介サイト」の設立をしようとした際も、紹介料問題により弁護士の紹介を断念したいきさつがあります。
やはり、弁護士事務所は金銭的なつながりよりも、人脈による紹介がモノを言うのは今も昔も変わらないようです。