弁護士の年収が1/3になる時代が来る?
弁護士数の増加により、経営の苦しい弁護士事務所が増えています。
日弁連の統計をみると、2015年3月の時点で、弁護士の数は36,415人、弁護士事務所は15,331所ですが、10年前の2005年の弁護士数は21,185人、弁護士事務所は11,521所です。
つまり、10年ほどで弁護士は約1.71倍、弁護士事務所数は約1.33倍増えていると言う事になります。
もし、弁護士業系全体の年商規模が変わらないのであれば、2005年と比べて2015年の弁護士一人あたりの年商は58.8%、つまり6割くらいの年商しかないことになります。
弁護士事務所にかかる経費自体はあまり変わりがないため、年商が下がれば経費の割合が大きく上がるため、経営を圧迫することになります。
仮に2005年が年商2000万円で、経費に1000万円かかり、年収が1000万円あった弁護士事務所でも、2015年には年商1200万円ならば経費を引くと200万円しか年収がないことになってしまいます。
さらに追い打ちをかけているのが訴訟数の減少です。
2003年には民事・刑事裁判などを合わせて60万件あったのが、2015年には35万件と約58.3%にまで落ち込んでいます。
弁護士事務所の仕事は訴訟のみではありませんが、訴訟を中心とした経営方針をしている弁護士事務所であれば、仕事が6割まで減少していることになります。
つまり、弁護士の増加により6割に減、訴訟数の減少により6割に減、と両方の現象が合わさってしまうと、単純計算で10年前の年商の3.6割くらいしか弁護士は稼げなくなってしまっていることになります。
経費を差し引いた年収で考えると、1/3になってしまうことも無きにしも非ずの話になってきます。
もちろん、単純な計算だけで弁護士事務所が成り立つわけではありませんが、競争激化による弁護士報酬の低下が加わると、弁護士事務所経営も戦国時代さながらの様相なのかもしれません。