弁護士の横領が急増の背景には
近年、弁護士による着服・横領事件が後を絶ちません。
2000年に成年後見制度が制定され、2010年に貸金業法改定が本格施行されたため、弁護士事務所には、成年後見制度の手続きや過払い金請求の依頼が殺到しました。
特に過払い金請求に関しては、「特需」や「バブル」と言われるほどの利益を弁護士事務所にもたらし、個人の弁護士事務所でも1年で数千万円の利益を得たところも珍しくありませんでした。
ですが、そのころから弁護士の着服・横領事件の件数が増加しています。
以前から弁護士は、数百~数千万円の金額や不動産が絡む案件を処理することはありましたが、実際に弁護士がその現金を預かり、自由にできると言うケースは少なく、「書類上だけ」と言う事がほとんどでした。
しかし、成年後見制度で後見人が弁護士であれば、ある意味自由に使えますし、過払い請求も消費者金融から返金された過払い金はいったん弁護士事務所が預かり、弁護士報酬を差し引いて依頼人に支払うことが多いので、依頼人への報告をごまかして返金を減らすといった手口で横領していたと言うケースもあります。
弁護士の数が増えたうえに、過払い請求の特需も2~3年前に終焉を迎えつつあるので、「弁護士事務所経営が厳しい」という弁護士が急増しているのも相まって、「目の前にある依頼人のお金」を簡単に横領してしまう事件が後を絶たないのです。
しかも、20~30代と言った若手弁護士ではなく、50歳以上の弁護士の横領事件の方が圧倒的に多く、「弁護士と言うだけで高収入」であった派手な生活から抜け出せずにいる背景が透けて見えます。
依頼人もニュースなどで弁護士の着服・横領問題を知っていることが多いので、過度に豪華な応接室や逆にボロボロの弁護士事務所では、依頼人に不安を与えかねないため、適度に美しく清潔な事務所にするように心がけた方が良いかも知れません。