無料相談より有料相談の方がいい
法律事務所向けシステムThemisを開発しております、田原と申します。
弁護士事務所の多くが「初回相談は無料」「過払い請求の相談は何度でも無料」と、無料相談を行っています。
相談が無料であれば、「相談してみたいけどお金がいくらかかるかわからないし、無料だったら気軽に相談できる。」と、敷居が高いと感じる弁護士への相談がしやすくなるため、弁護士事務所の営業手法としてはベーシックなものです。
無料相談を行えば沢山の相談があるため依頼も増えるので、弁護士事務所も利点があるかと思ってしまいますが、実情はそうでもないようです。
気軽に相談できると言うことは、弁護士が介入するまでもないような問題や、時には冷やかし目的で相談に来る人もいるため、徒労に終わることも少なくないからです。
また、無料相談に来る方は経済的に厳しい方が多く、依頼を受けても依頼料が極端に安かったり、場合によっては依頼料を支払わないケースもあるため、弁護士事務所側は「かかった経費すら回収できない」と言った嘆きも聞かれます。
そのため、無料相談は行っていない弁護士事務所もあります。
とはいえ、平均的な弁護士の相談料の1時間1万円は一般の人には高いと感じるため、ワンコイン相談を行っている弁護士事務所があり、月に30~50件ほど相談があるそうです。
1回の相談が500円と弁護士への相談としては破格ではあるのですが、「お金を払う」と言うことで相談の内容が依頼につながりそうな濃い内容のものが多くなり、真剣な依頼者が増えて質もぐっと上がるので、弁護士事務所も儲かる依頼の相談の割合が増えて利点が多いそうです。
実はこれは弁護士に限ったとこではなく、物販やサービス業などではよく使われています。
「無料」と言うと人は集まるのですが、無料でサービスしたもの自体の価値を安くみられてしまったり、「また無料でもらえるのではないか?」との考えを消費者に植え付けてしまうため、結局は利益につながらないことがあるのです。
しかし、同じ赤字であっても少額でもお金をもらった方が、「1万円のものが500円ですごく得だ。」「お金を払って相談した回答なので信頼性がある。」と考えるため、価値を下げることなく消費者にお得感と信頼性を与えることができるのです。
心理学的に言うと「返報性の法則」と「対価の法則」と呼ばれるもので、ワンコイン相談は、この両方をうまく使った手法と言えます。