過払い請求ブームの後は?
法律事務所システムThemis開発担当の田原と申します。
2010年の貸金業法の改定で、過払い金ブームが起こりました。
グレーゾーン金利での支払いを続けていた消費者は、払い過ぎとなっていたためその分を返してもらえる、いわば「現代の永仁の徳政令」とも言えるものです。
そのため、借金を抱えていた消費者はこぞって過払い金請求をしたため、貸金業者は経営が苦しくなり、なかには倒産するところもありました。
一方、潤ったのが弁護士・司法書士業界です。
過払い金請求は一般人からすると、「ややこしい」「めんどくさい」「よくわからない」と、なかなか自分でするのはハードルが高いものです。
ですが、借金問題を常日頃から取り扱っていた弁護士や司法書士からすれば、一般の借金問題と比べて比較的手続きが簡易であるのと、過払い金が返金されればその中から成功報酬が受け取れるため未回収となることがないこと、また過払い金額によっては成功報酬が100万円以上にもなることから、テレビCMをしてまで過払い金請求をPRする弁護士事務所までありました。
しかし、5年経って状況が変わってきました。
過払い金の対象者が、ぐっと減ってしまったからです。
過払いができる人はもうしてしまっているし、2010年以降に借り入れした人は法定金利での借り入れなので過払い金が発生しないからです。
そのため、過払い金のPRのCMをしていた弁護士事務所も次々CMを打ち切り、めっきりテレビでも見ることが減ってしまいました。
若手の弁護士事務所などでは、過払い金請求の依頼が収入の大半を占めていて、そのほかの依頼はほとんどしたことがないと言った、偏った業務内容のところもあります。
そのような弁護士事務所は急激に依頼が減ってしまい、経営に四苦八苦し弁護士事務所をたたむところまであります。
この先、過払い金請求に変わる依頼を掘り起こしていくことが、弁護士事務所の大きな課題となるかもしれませんね。